私の愛したSF(22) 「銀河ヒッチハイク・ガイド」

読みたいのに手に入らないもどかしさ、本好きの方なら誰でも味わったことがあると思う。特にSFはそういう状況がある意味日常茶飯事なジャンルであって、傑作と謳われる本が絶版なんてことはザラである。(シマックの「都市」が絶版なんてありえんよねホント…)まあそのぶん古本屋を巡る楽しみがあるんだけど。

今回紹介する「銀河ヒッチハイク・ガイド」もそんな1冊で、世界中でカルト的人気を誇る作品ながら国内ではずいぶん長いこと絶版だったのが、昨年、映画化にあわせて新訳で出版されて僕もようやく読むことが出来たのでした。よかったよかった。

”ある日突然、あっけなく地球は消滅した。銀河バイパス建設のために取り壊されたのだ。サエないイギリス人、アーサー・デントは、友人フォードがたまたまペテルギウス星系出身の宇宙人だったおかげで助けられ、地球最後の生き残りとなる。右手にタオル、左手に「銀河ヒッチハイク・ガイド」を携え、全宇宙を股にかけたどうしようもなくシュールでおバカなヒッチハイクの旅が始まった…。”

これは元々イギリスBBCのラジオドラマを脚本担当だったダグラス・アダムスがノベライズしたもので、内容はスピードと笑い重視のスラップ・スティックSF。とにかく笑えるのだが、笑いの質が常にシニカル or ブラックなのはさすが(?)イギリス人といったところ。全宇宙を駆け回ってありとあらゆるものをバカにしたあげく、「人生、宇宙、すべての答え」なんて哲学的な問いにも答えてしまうあたり、(ちなみにこの答えはgoogle 電卓でも計算可能。お試しあれ)ヴォネガット「タイタンの妖女」に通じるところも多く(パロディなのかな?)僕は大好きですこういうの。たいしてヒッチハイクしてないじゃん!ってところ以外は最高でした。

この本には続編も幾つかあって、現在は2作目「宇宙の果てのレストラン」まで手に入るのだけれど、こちらは前作に比べるとやや散漫な印象で、僕は途中でちょっと飽きてしまった。ともかく1作目は文句無しに面白いので、最近笑いが足りないな、なんていう方にはモーレツにオススメします。

さて、トリビアの塊のようなこの作品、ウィキペディアで調べると山のような情報が得られるけれど、1つだけ載っていないネタがあったので紹介。主要キャラクタの1人にうつ病のアンドロイド”マーヴィン”というのが登場して、鬱々とした活躍(?)をするのだけれど、このマーヴィンこそRadiohead の「PARANOID ANDROID」のタイトル元だという。というわけでさっそく聴いてみた。うーん、ある意味ピッタリ?

「銀河ヒッチハイク・ガイド」 ダグラス・アダムス(英) 1980
DON'T PANIC ! ★★★★☆ 

銀河ヒッチハイク・ガイド
ダグラス・アダムス 安原 和見
河出書房新社
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by k_g_zamuza | 2006-01-12 14:08 | SF的生活


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